ちわぷ〜の書評ブログ🐶

アラサーの物書き愛犬家の書評ブログです🐶

秋田マタギの一代記「邂逅の森」

 

こんばんは、ちわぷ〜です!

 

先日の出張の際に、ずっと読みたかった長編小説を一気読みしましたので、ご紹介させていただきます!

直木賞&山本周五郎賞W受賞の良作になります☆

「邂逅の森」 熊谷達也(著) 文藝春秋

あらすじ

秋田の農村に貧しい小作の倅として生まれた富治は、伝統の阿仁マタギに加わり、狩猟と山の魅力に取りつかれてゆく。

富治は地主の一人娘、文枝と恋に落ちるが、二人の恋は阻まれ、富治は村を追われてゆく…

大正期のマタギの一代記

本作は富治の生涯を通して、大正期のマタギの生き様を描いた壮大な物語です。

そもそもマタギという言葉自体が山の中でしか使わない隠語で、当時は一般に浸透していなかったとか!

 

マタギの事は何も知らなかったので、勉強になる事が多く、特に狩猟に興味があって読み始めたわけではなかったのですが、壮大な物語にいつの間にか没頭していました!

まとめ

大きな賞をW受賞しているだけあって、グイグイと読ませる作品でした!

マタギだけではなく、鉱山の話もけっこう出てくるので、そちらに興味がある方にもオススメの作品です(^ ^)

 

寒い冬の夜に読むのにぴったりな物語でした☆

 

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こんな人にオススメ

大正時代のマタギに興味のある方

猟師を描いた作品に興味のある方

大正時代の鉱山に興味のある方

昼間からチョコレートをツマミにビールを飲む、ミステリアスな女…「言の葉の庭」

 

こんばんは、ちわぷ〜です!

 

年内しばらく短期出張が続きそうで、なかなか時間が取れず、「すずめの戸締まり」を観に行けるか心配になっています^^;

日々、ネタバレに怯えています…

 

新海監督作品には思い入れがあり、

まだ私が学生の頃、新海監督が「君の名は」でブレイクするずっとずっと前から、たまたまクラスのアニメ好きな子が新海監督の大ファンで教えてもらって、トークショーに行ったりと逐一追っかけ続けていました!

 

当時は新海監督は知る人ぞ知るといった感じでしたが、今や超売れっ子監督になられて感慨深いものがありますね^ ^

 

そんな新海監督作品の中から、本日はイチオシの作品をご紹介いたします!

岩井俊二監督と同じ様なパターンで、小説版も新海監督自ら執筆されています☆

言の葉の庭」 新海誠(著) KADOKAWA

あらすじ

靴職人を志している高校生の孝雄は、雨が降ると学校をサボり、新宿御苑の東屋で靴のデッサンをして過ごしていた。

 

ある雨の日、孝雄がいつもの様に東屋にやってくると、ビールを飲んでいる不思議な女性と出会い、二人は約束もないまま、雨の日の朝は共に過ごす様になっていく…

心の描写がより深い小説版、雨の表現が美しいアニメ版

アニメ版は46分の中編作品で、小説版はそれにアニメ版では描かれなかったエピソードを多数肉付けした形になっていて、すでにアニメ版を観られた方でも楽しめる内容になっているかと思います(^ ^)

 

アニメ版ではほとんど出番がなかったキャラにスポットライトを当てた章もあり、小説版を読んだ後に再度アニメ版を観ると新たな発見があったりして、何度でも楽しめます!

 

アニメ版はとにかく美しい映像で、雨の強弱で登場人物の心情を表現していたりと、余計なセリフが無い間が美しい作品で、とても中編作品とは思えない深みがあります。

 

小説版ではかなり深く登場人物の心情を描いています。

万葉集を組みこんだ作品なので、映像では通りすがりがちな美しい文章を噛みしめる様に読めたり、ググってその背景を調べたり、自分の間で物語に浸る事ができます。

 

どちらか片方ではなく、ぜひ両方楽しんで頂きたい作品です☆

 

ちなみに、本作は新宿御苑をモチーフに描かれているので、アニメ版を観てから行くとおおっ!となると思います^ ^

 

現在はどうか分かりませんが、2016年頃に行った時は、作中で描かれていたのと同じ様な感じでした!

ちなみに、実際には新宿御苑はお酒禁止みたいなので、ビール(金麦)は持ってかないでくださいね笑笑

まとめ

心にスッと染み渡る優しい作品で、読み終わったあと一歩前に進んでみようという気になれる作品です。

 

ファンタジー要素は無いので、大人の方にも楽しめる内容の作品ですし、

「君の名は」以降続いているファンタジー路線の作品から新海監督のファンになられた方には新鮮に写るかも知れません。

 

本作や「秒速5センチメートル」など、新海監督作品はファンタジー要素の無い作品の完成度も高いので、ファンタジー路線の作品を観て、ちょっと合わないなと思われた方も、ぜひ本作を観てみてください☆

こんな人にオススメ

新海誠監督のファンの方で、メジャーになる前の作品にも興味のある方

アニメ版の「言の葉の庭」を観て、より深く作品の世界に浸りたい方

優しい物語を読みたい方

 

芥川賞作家が描く様々な愛のかたち「どこから行っても遠い町」

 

こんばんは、ちわぷ〜です!

 

今日はワールドカップ日本代表初戦ですね!

しかも相手は強豪ドイツ!

Jリーグ派なのであまり海外の選手には詳しくないのですが、そんな私でも知っている有名選手だらけのドイツにどんな戦いを挑むのか楽しみです☆

 

特にサッカー関係無い話なんですけど、本日も小説をご紹介いたします笑

「どこから行っても遠い町」川上弘美(著) 新潮社

あらすじ

ある商店街の魚屋さんとその周囲の人々を描いた連作短編集。

全11作の短編を収録し、ラブストーリーが多目に描かれている。

様々な愛の形を描いた短編集

始めて読んだ作家さんでしたが、芥川賞など様々な賞を受賞されているだけあって、まとまりがあり完成度が高い作品でした!

 

かなり読みやすい文体で、ストーリーも無理やりな派手さは無く落ち着いていて、生活感がきちんとある人物造形でした。

どこにでもいそうな人々に焦点が当てられているので、感情移入もしやすいかと思います。

 

個人的には、江國香織さんの「号泣する準備はできていた」を読んだ時に近い感覚を覚え、そちらが好きな方はこちらも好きなんじゃないかな〜と思いました!

まとめ

ロマンティックさはありませんが、きちんと心情を描かれた作品で、生活感がリアルな落ち着いた大人向けの短編集です。

 

個人的には板前さんと女将さんの話が一番印象的でした!

1作品当たりページ数が短いので、忙しい時にもオススメな作品です☆

こんな人にオススメ

一つの町を様々な登場人物の視点から描いた作品を読みたい方

川上先生のファンの方

様々な愛の形を描いた短編集をお探しの方

 

まさにこのタイトルのまんま→「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」

 

こんばんは、ちわぷ〜です!

 

明日は近場ですが、出張で一泊お泊まり。今年初なので、少しウキウキしています!

何故ウキウキかと言うと、遠足前におやつを選ぶ子供の如く、出張のお供の本を選抜するという楽しみがあるからです!

 

普段、仕事で移動中の時は電子書籍を読みますが、やはりお泊まりとなると重たかろうが何だろうとハードカバーを持っていきたくなりますね^ ^

 

ビジネスホテルで読む小説は、露天風呂の雪見酒くらい風情があるんじゃないかと個人的には思ってます^ - ^

雪見酒、飲んだ事ありませんが笑

 

年内、週一で出張になりそうで作品のローテーションを考えていますが、

出張先でより読書を楽しむべく、一旦気持ちをリフレッシュさせたくて、

本日は小説ではなく、気持ちを軽くする本を読んでみましたので、ご紹介させていただきます!

「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」 宝島社

内容

文豪達、又は星野源などのミュージシャン、果ては週刊文春などの媒体が、カップ焼きそばの作り方を書いたら?

というコンセプトで、1ページ、又は見開きで1ページで書かれている。

まとめ

褒め言葉として受け取って頂ければと思いますが、良い意味でくだらなくて気持ちが軽くなりました!

個人的には、稲川淳二さんのヤツが一番お気に入りでした^_^

 

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こんな人にオススメ

軽い読み物で気持ちを軽くしたい方

カップ焼きそばに並々ならぬ情熱を注いでいる方

 

超ドSの王様系刑事「神様刑事」

 

こんばんは、ちわぷ〜です!

 

本日は久しぶりにライトノベルを読んでみましたのでご紹介させていただきます!

超俺様系なキャラクターでした☆

 

「神様刑事〜警視庁犯罪被害者ケア係・神野現人の横暴」関口暁人(著)

あらすじ

捜査一課の女性刑事、小野皇子の友人が殺人事件に巻き込まれ命を落としてしまう。

友人を守れなかった後悔から、皇子は遺族をケアする犯罪被害者ケア係に異動する。

 

そこで待っていた神野は横暴で自分勝手な言動ばかりしている。

あまつさえ、自分は神なのだ、殺人犯を逮捕する事ができれば被害者を生き返らせる事ができる。なんて事まで言い出した…

超ドS!王様系刑事!

ライトノベルらしくキャラ立ちが良く、自称”神”の神野のキャラクターが楽しめるかどうかでこの作品の満足度は変わってくるかと思います。

例えば、「花より男子」でいうと、道明寺派にはドンピシャでしょうし、花沢類派の方だったら、もしかしたらそこまでキュンとは来ないかも知れません。

 

ですが、”遺族のケア”という、ライトノベルではなかなか無いのでは?と思える深いテーマを扱っており、そこの部分に興味が持てれば、花沢類派の方も一見の価値ありだと思います^ ^

まとめ

ライトノベルらしい勢いと深いテーマとのバランスが良い作品です。

神野の言動に振り回されるのがいつの間にか心地よくなってきてしまいました笑

こんな人にオススメ

ライトノベルが好きな方

ナルシストでエゴイストなキャラクターが好きな方

 

夜通し80キロ歩く高校生たち「夜のピクニック」

 

こんばんは、ちわぷ〜です!

 

学生の頃、終電で寝過ごしてしまい、お金が全く無くて、始発まで時間を潰す事も電車に乗って帰る事もできず、夜通し歩いて家に帰ったという経験があります!

 

ひたすら土手を歩いていたのですが、何となく将来の事なんかを考えながら歩いたりしていて、朝日が昇った時はなんかいつもより美しく感じたのを覚えています☆

 

本日ご紹介するのは、夜通し80キロを歩く高校生達の物語で、なんと実在するイベントをモデルにしているそうです!

 

夜のピクニック恩田陸(著) 新潮社

あらすじ

高校生活の最後を飾る一大イベントの歩行祭

全校生徒が夜を徹して80キロ歩くという、北高の伝統行事だ。

甲田貴子は、三年間抱えて来た秘密を精算しようと、ある賭けをしていた…

多部未華子主演で映画化!原作者の母校で撮影!

本屋大賞を受賞した本作は、多くの大賞受賞作品と同じ様に映画化されています!

 

主演は多部未華子さんで、貫地谷しほりさんや加藤ローサさんや池松壮亮さん…

などなど、今思うと錚々たる面々が出演していて、チョイ役でTBSの日曜劇場に何故かよく出ている馬場徹さんも出ていたりもします!

 

そして、なんとwikipediaによると、キャスティングは恩田先生のイメージに沿った形で行われたとか!

当たり前の様ですが、原作のイメージとかけ離れたキャスティングがなされてる作品も多い中、なかなか恵まれた事ですよね^ ^

 

撮影も恩田先生の母校で本作の歩行祭のモデルとなった行事が行われている水戸第一高校で行われており、原作のイメージ通りの作品となっております!

まとめ

ジーンと感動し、大人になってから読むと青春を追体験できる様な良作です。

 

面白そうな内容だけど、本はあんまり読まないな〜って方は、原作者のイメージ通りに制作された映画版の方を観てみても良いと思います!

 

原作ファンお墨付きの完成度の高い作品になっていると思いますので、それを観て面白ければ原作や恩田先生の他の作品を読んでみる…っていう感じでも良いんじゃないでしょうか(^ ^)

 

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こんな人にオススメ

本屋大賞受賞作の話題作を読みたい方

恩田先生のファンの方

多部未華子さんや池松壮亮さんなど、映画版のキャストのファンの方

 

ナチュラルに暴走する人々「父と私の桜尾通り商店街」

 

こんばんは、ちわぷ〜です!

 

先日読んだ「むらさきのスカートの女」にどハマりし、今村先生の他の作品も読んでみましたのでご紹介させていただきます☆

「父と私の桜尾通り商店街」 今村夏子(著)KADOKAWA

あらすじ

桜尾通り商店街の片隅に佇む不人気なパン屋さんを営む父と娘。

父の作ったパンの半分は毎日売れ残り、近く閉店する事が決まっていた。

 

ある日、店を訪れたお客さんに、娘が売れ残ったコッペパンにジャムを挟んで食べさせてあげたら好評だった。

娘はそれに味を占めて様々な味のコッペパンを作る様になる…

 

(「父と私の桜尾通り商店街」)

上記含め、7つの個性豊かな登場人物が織りなす短編を収録

ナチュラルに暴走し始める個性豊かな人々

「むらさきのスカートの女」でも感じた事ですが、今村先生は本当に人間が好きなんだな〜と思いました!

 

全作品にナイスキャラがいて、もう最高でした!

 

個人的にはスナックのママの誕生日を祝おうと、辞めた女の子達が集まる「せとのママの誕生日」が一番好きでした^ ^

シュールだけど、ちょっぴり考えさせられるところなんかもあったりして^ ^

 

モグラハウスの扉」では子供のセリフがメチャクチャ面白く、ノスタルジーも感じる事ができて、きちんと緩急の効いた短編集になっていました☆

まとめ

愛すべきナイスキャラがいて、暴走して物語が展開してゆきますが、ストーリーが破綻する事なく収まり良く話が締めくくられてゆきます!

 

流石は芥川賞作家というべき、個性と技術の調和でした。

また近く、今村先生の本を読んでみたいと思います☆

 

今村先生の作品は、以前取り上げたこちらの作品もオススメです☆

chiwawatan.hatenablog.com

こんな人にオススメ

一風変わった人々が好きな方

クスリと笑え、ノスタルジーも感じられる短編集をお探しの方

今村先生のファンの方