ちわぷ〜の書評ブログ🐶

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守銭奴の新撰組隊士は何を想い生き抜いたか…「壬生義士伝」

 

こんばんは、ちわぷ〜です!

 

仕事でたまに行く田舎町の町外れに新撰組の史跡があり、時代物が好きな私はなんとなくロマンに浸りながら、帰りがけ一駅歩きがてらそこに寄るのが楽しみなのですが、

ここ最近、平日にも関わらず若い新撰組ファンの方が必ずいて驚いてます!

 

史跡って言っても何があるわけでもない様な所で、新撰組を描いた作品でも1行話に出てくるか、出てこないか、大抵の作品では話が省かれる様な所なので、辺鄙な場所だし今まで人とかち合うなんて事はない、私の隠れ家的スポットだったのですが、

若い新撰組ファンの方の増加が感じられて嬉しかったです!

 

本日ご紹介させて頂くのは、少し前にヒットした作品なので読書好きにはお馴染みの作品なのですが、最近新撰組のファンになった方にとっては新鮮に感じるんじゃないかな〜という名作です☆

壬生義士伝浅田次郎(著) 文藝春秋

あらすじ

鳥羽伏見の戦いの後、大阪の南部藩蔵屋敷に、満身創痍の新撰組隊士が訪ねてくる。

それは、家族を食わせて行く為に南部藩を脱藩した吉村貫一郎だった。

そこで親友の大野次郎右衛門と再会した吉村は、切腹を申し付けられる。

 

遠く盛岡に残した家族の為に、時代の動乱の中心であった京の町に出稼ぎにやってきた吉村は、新撰組隊士として多くの人を斬り、家族に金を送り続けていた。

 

金に執着し、守銭奴と同僚に馬鹿にされた吉村の真実の姿が浮かび上がってゆく…

吉村貫一郎とは?

近藤勇土方歳三など、有名どころの隊士は説明不要なのですが、吉村貫一郎は本作を読んだ事のある人以外はほとんど知らない、かなりマニアックな部類の隊士です!

 

史実でも明らかにされていない部分が多い人物で、

子母澤寛先生(「新撰組始末記」など新撰組研究を続けた作家さん)の創作によるものが一般的に定着しているのですが、浅田先生の本作も子母澤先生の吉村貫一郎像を下敷きにする形で描かれてゆきます!

 

有名どころの隊士だと一つ一つの行動が史実として残っているので、物語の中で好き勝手動かすのが困難な場合もあるかと思いますが、

謎の多い吉村貫一郎という人物を主人公に据える事によって、守銭奴新撰組隊士という、オリジナリティある物語が成立しています^ ^

 

新撰組ファンの方は当然幕末の歴史を知っていて、

新撰組がどういった道筋を辿るのか分かっているので、新撰組を描いた作品を読んでいても特にサプライズなく進んでいく物語が多いな〜と感じてるかと思いますが、

(無理やりサプライズな展開にしようとして破綻している作品も多いですよね(^_^;))

 

本作の吉村貫一郎という、後の世に名を残さなかった一隊士が辿る物語は新鮮で、胸に来るものがあるんじゃないかな〜と思います☆

 

まとめ

上下巻で読み応えのある内容となっております!

あの感動のラストは、浅田次郎作品の中でも随一のものになっているんじゃないかと思います(泣)

 

話が繋がっているわけでは無いのでどちらから読んでも構わないのですが、以前取り上げた下記の浅田先生の作品にも吉村が登場し、話の内容が補完されるので、両方読むと更に楽しめると思います☆

chiwawatan.hatenablog.com

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こんな人にオススメ

新撰組ファンの方で、変わったタイプの主人公の作品を読みたい方

ジーンと泣ける時代小説をお探しの方

鉄道員」など、浅田先生のファンの方