ちわぷ〜の書評ブログ🐶

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娘が母を殺めてしまった…そうしなければ救われなかった、母の異常な支配があった…「母という呪縛 娘という牢獄」

 

こんにちは、ちわぷ〜です!

 

本日は事件関係のルポ。

ちょいちょいブログ内で話に出している、youtubeの本屋で一万円分の本を買ってみた的な企画に、ゴッドタンの佐久間Pが出た際に、良かったと仰っていたルポを読んでみました☆

「母という呪縛 娘という牢獄」 齊藤彩(著) 講談社

内容

2018年に滋賀県で起きた事件に迫ったルポ。

娘が母を殺害し、遺体を遺棄したその事件には、母の異様なまでの呪縛があった…

家族の絆は、呪縛にもなり得る

最近、色々と事件関係のルポを読ませて頂いて感覚が麻痺しているところがあったのか、最初は何故数ある事件の中からこの事件を取り上げたのか?

ちょっと不思議でした。

 

案の定と言いますか、世間の流れに疎い私はこの事件の事を知らなかったのですが、

娘が母を殺害しバラバラにした…というのは非常に重大な事件のはずですが、

子供が親を、親が子供をという事件は、残念な事によく耳にする事で、特段珍しいわけではない様に思います。

 

あと、今まで読んできた事件のルポって、世間知らずの私でも知ってるくらいの超凶悪事件ばかりだったので、そんなわけで感覚が麻痺した私は、だからこそ筆者の方がこの事件を通して何を伝えたかったのか、非常に気になりながら手に取りました。

 

読んでみて、なるほどなと…

これは、とんでもない事件ですね。

 

何故、娘(あかりさん)が母を殺してしまったのか。

その部分にフォーカスされていて、親子の関係性を考えさせられる内容になっていました。

 

まず大前提として、娘さんが罪を犯した事を擁護するつもりはありませんし、罪は償うべきだとは思いますが…

そうしなければ救われなかった娘さんの気持ちも非常に良く分かりました。

このお母さんは、ちょっとおかしすぎる。

 

異常なまでの管理体制で、医者になる事を強要されて9年間も浪人生活を送らせられる…

そして、人格を無視する様な発言を繰り返し、娘さんは浪人を重ねる毎にどんどん追い詰められてゆく。

想像を絶します。

 

医大受験というのが一番大きなトピックスにはなりますが、そもそもこの母は世間で生きる多くの人々をなぜだか下に見る傾向があり、医大受験以外にも色々とおかしな事をして娘さんを困らせます。

 

青春なんてなく、社会から孤立させ、お母さんが支配してしまっている感じ。それも事件が起きてしまった、最終的に踏みとどまれなかった一因の様な気がします。

 

お父さんは何をしていたかと言えば、異常な母と共同生活を送る事ができなくなってゆき、同じ家に住んでても住居が完全に分かれている感じになったりしたり、

娘さんと顔を合わす事も減ってゆく、どんどん母はエスカレートしてゆき、虐待の様な形になってゆく…

 

お父さんが、母の異常性に関しては、娘さんの裁判でも発言していましたが…もうその時点では後の祭り。

 

お父さんも、母の異常性に気づいていたのだから、この事件が起きる前に何とかできなかったのかなぁ…とも思いますが、お父さんを責め切れないのは、私はこの母を目の当たりにしたわけではないから。

きっと、当事者は私の想像の何倍も苦しめられた事でしょう。

 

ここまで異常な母がエスカレートする前に止める方法なり法律は無かったのかと、非常に残念でやりきれない事件です。

ここからは私見も入ります!

ここまで異常な母は少ないでしょうが、教育の現場で働く知人達からは口々にモンスターペアレントの話を聞いていて、その中にはいやいやそれってもうモンペですらないじゃん!と明らかに病んじゃってる親御さんの話を聞く事も多々あり。

 

私自身も学校教育ではありませんが、本業に付随してコロナ前までは、教育に近い仕事に携わらせてもらっていて、色んなお母さん達と遭遇しましたが…

色々と危ういなぁと思う事が多かったのが本音です。

 

子供を愛していない虐待的なケースも世の中にはありますが、

私が気になってしまったのは、お母さん達が子供を愛しているつもりになっていても、その実、結局は子供のことなんかどうでも良くて、自分を愛しているだけ、というケース。

これは虐待の様な大きな問題にはならないので、非常に厄介なパターン。

 

なんかもう、愛情っていう言葉で片付けちゃって良いのかな?と思っちゃうくらい、歪んでしまっているお母さんが珍しくはないという事実。

子供に問題が無くとも、お母さんが色々と精神的に疲弊してしまい、それが子供に伝染して何やらおかしくなるケースもあったり…

 

そんな事があっても、良くも悪くも子離れの時期は迎えるのでしょうが、

それを迎えずにエスカレートしてしまったのが今回の事件の一因でしょうか…

 

たとえば、娘さんが目に見えておかしくなってゆけば、流石に周囲も気づくのでしょうが、娘さんが傷ついていたのは目に見えない心であって、

 

外見的にはストレスで過食気味とはいえ、異常なほど太っていたわけではなく、まぁ大きめだけど、これくらいの体型の人は普通にいるよねってくらいだった様で、事情を知らない人にとっては、異常とは映らない。

社会から孤立させられてしまった娘さんは、相談する相手もいない。

 

今回の娘さんの様な方のために動いてくれる団体や、相談できるところ

(ただ単に話を聞くだけじゃなくて、ヤバいと判断したらキチンと動いてくれるところ)

ってなかったのかなぁと思いました。

 

子供はいないので親の気持ちは分かりませんが、どこかで歯車が狂えばこういう事って起こり得て、殺人事件とかそういう大きな事にならなくても、心に傷は負ってしまうよね、と…

 

そして、そういう子供が決して少なくはないのでは?と本書を読んで感じました。

娘さん(あかりさん)の様な事が今後起きない事を切に願います。

まとめ

娘が母を殺害した痛ましい事件を追い、親と子の関係性を考えさせられる、深いルポでした。

 

軽い内容ではないので気軽にぜひ!とは言えませんが、事件関係のルポをよく読まれる方やこの事件に興味のある方には、読み応えがあるので強くオススメできます!

 

佐久間 Pのオススメは、以前ご紹介したこちらの書籍もオススメです

こちらはミステリー小説です☆

chiwawatan.hatenablog.com

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こんな人にオススメ

この事件に興味のあった方

母と娘の関係性について考えたい方