ちわぷ〜の書評ブログ🐶

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人気作家が5年掛けて描いた力作「夜が明ける」

 

こんばんは、ちわぷ〜です!

 

先日ご紹介した「砂嵐に星屑」を読んでからテレビ業界の裏側を描いた小説を読みたくなり探していたところ、「きいろいゾウ」など人気作を多数手掛ける西加奈子先生の最新作が該当し、読んでみましたのでご紹介いたします☆

「夜が明ける」西加奈子(著) 新潮社

あらすじ

高校時代、”俺”と深沢暁は出会う。

長身で”俺”曰く「数人殺してきた」様な雰囲気を持つ暁は「男たちの朝」というマイナーなフィンランド映画に出てくる、アキ・マケライネンという俳優に瓜二つだった。

 

それを”俺”が暁に伝えると、暁はアキ・マケライネンにのめり込み、アキ・マケライネンのマネをし、自身の事を周りにアキと呼ばせる様になる。

その見た目から周囲に怖がられ、ひどい吃音症を持つアキだったが、「俺」との出会いによって学校の人気者へとなっていく。

 

やがて、アキは、アキ・マケライネンに憧れ、俳優を志すが…

現代日本の抱える若者の貧困を描いた物語

読み終えて知った事ですが、本作は西先生の力作で、書き終えるまでに5年も掛かったそうです。

よく映画で構想何年という言葉を聞きますが、小説一本に対して5年というのは、それだけで相当の思い入れを感じます。

 

もちろん構想何年というのは作品の売り文句的な部分もあると思うので、それを意識して読むというわけではないのですが。

 

中盤〜終盤までテレビ業界、小劇場関係(演劇)について書かれている部分も多く、文末に西先生が取材されたテレビ局関係者や小劇場関係者などに御礼の文を載せている事から、丹念な取材をされたんだろうなと思いました。

 

また取材された方の名を伏せて、本作の責任は全て著者にあると述べているところからも、

業界物でありがちな面白さ優先で、その業界で働かれている方からみると「それあり得ないよっ!」っていう作品も多い中、

 

本作はフィクションという大前提がありながらも、かなり核心に迫る部分を描いているのではないかと思いました。

まとめ

若者の貧困や虐待など、扱っている題材がヘビーなので、なかなか敷居が高い様に感じてしまうかも知れませんが、

前半の高校時代のエピソードは読みやすく書かれているので、一気に物語に入り込めました。

 

人気作家でも書きたいものが書けるわけではないと聞く事もありますが、この作品はきっと西先生が本当に書きたい作品だったんだろうなと思います。

 

ありきたりな展開の作品ではなく、ジャンル分けできない物語ですし、

5年もの時間を掛けて描いただけあって、鬼気迫るものを感じた凄まじい作品だったなと思いました。

 

テレビ業界を描いた作品に興味のある方は下記の作品もオススメです☆

chiwawatan.hatenablog.com

 

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こんな人にオススメ

きいろいゾウ」など、西先生のファンの方

テレビ業界や小劇場の裏側に興味のある方

人気作家がたっぷりと時間を掛けて書いた力作を読みたい方