こんばんは、ちわぷ〜です!
学生時代、デビュー作の「助手席にて、グルグル・ダンスを踊って」や「指輪をはめたい」と出会い、衝撃を受けた伊藤たかみ先生。
しかし、何故だか知りませんが社会に出てからは読む機会がなかった事に気づき、
代表作の一つである、芥川賞受賞作を読んでみましたので、ご紹介させて頂きます☆
「八月の路上に捨てる」 伊藤たかみ(著) 文藝春秋
あらすじ
自動販売機の補充のアルバイトをしている脚本家志望の敦は、30歳の誕生日に嫁と離婚する事になった。
ペアを組んで補充に回っているシングルマザーの水城さんは、本日を持って異動になる予定。
敦は水城さんに嫁との離婚の顛末を語ってゆく…
(「八月の路上に捨てる」)
他、「貝からみる風景」、
文庫版のみ「安定期つれづれ」も収録
軽やかだが、深く心情を綴る伊藤たかみ先生の文章
まず、本作は読みやすいタイプの芥川賞作品で、ページ数自体も少なめ、会話が多めで、そんなに時間が掛からず読み終えられる作品です!
水城さんとの会話の感じが心地よくて、
水城さんが異動になる前の最後の1日だけが描かれているのですが、二人の今まで積み重ねてきた時間が透けて見える感じで、最後の方は何だか私まで水城さんと長い間一緒に働いてきた様な感じになって、寂しくなってきました(笑)
文章が簡潔で、それでいて軽やかなのに不思議な余韻がある作家さんで、敦と美容師の部分でそれが遺憾無く発揮されていて、学生のころ読ませて頂いたデビュー作でもこんな感覚になったな〜と懐かしくなりました!
女性から見ると、敦ってどうしようもない男だな〜と思われてしまうかも知れません。
実際、どうしようもないんですけど(笑)
でも、不思議と嫌悪感とかはなく、
水城さんとのやりとりが面白いからか、私は全然、悪い子じゃないな〜という感覚でした☆
まとめ
読みやすいタイプの芥川賞受賞作で、離婚や異動など、別れの予感に満ちた作品ですが、不思議な爽やかさがあり、後ろ向きな感じはそんなにありません!
バックグラウンドの匂わせ方がうまく、たった1日を描いているだけなのに、敦と水城さんが過ごしてきた日々を想起させられます。
セリフの掛け合いが面白く、文章のうまい作家さんなので、本作じゃなくとも、興味のある作品があれば、ぜひ読んでみてくださ〜い^ ^
単行本だったので、「安定期つれづれ」は読めずでした^^;
芥川賞受賞作は、以前オススメしたこちらの作品もオススメです☆
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こんな人にオススメ
読みやすい方の芥川賞受賞作を読みたい方
伊藤先生のファンの方