こんばんは、ちわぷ〜です!
本日は以前、町田そのこ先生の作品をご紹介させて頂いた際に、
読者の方にオススメして頂いた作品を読んでみました!
ちょっぴりファンタジー色も入り、不思議な神秘性があり…
そして、心温まる物語でした☆
「ぎょらん」町田そのこ(著) 新潮社
あらすじ
華子が恋人の葬儀から帰ってくると、ある事がきっかけでニートとなった兄の朱鷺(とき)がマンガを勝手に売られた事に腹を立て、暴れていた。
父の形見となったマンガ雑誌に載せられていた幻の短編、「ぎょらん」。それだけはどうしても売られたくなかったのだという。
華子が行っていた葬儀が恋人のものだと知った朱鷺は、華子の恋人が残した”ぎょらん”を捜しに行こうと華子を連れ出す。
人が死ぬ瞬間に生み出すという、小さな赤い珠”ぎょらん”
それを口に含み噛み砕くと、死者の最期の願いが伝わってくるという…
それは必ずしも、救いのある物ではなく、死者の恨みが込められている事もあるという…
朱鷺は華子を乗せ、華子の恋人が命を落とした事故現場へと自転車を漕ぐ…
不思議な”ぎょらん”を巡る連作短編集。
死者が遺した最期の想いとは?
「ぎょらん」という不思議な物体をテーマにしていますが、そこまでファンタジー色は強くなく、人の想いを中心に、丁寧に描かれています。
大人のファンタジーという印象の作品で、多くを語りすぎない事によって逆に”ぎょらん”の神秘性が増している様に思い、こういった形のファンタジーも面白いな〜と新たな発見でした!
辻村深月先生の「ツナグ」が好きな方は本作もハマるんじゃないかな〜と思います(^ ^)
本作の方がダークさはちょっぴり強めです!
本作で一番好感を持った点は、ファンタジーでありながら各話、現実的な終り方で締めくくられている点です。
ファンタジー要素のある作品って映画でも小説でもマンガでも、ご都合主義な終り方になっている作品がけっこう多くて、
色々大変な事もあったけど、不思議な力でハッピーエンド!
な印象がありませんか?
「読者ってこういう終り方を望んでるんでしょ?」みたいな大人な思いが透けて見えた瞬間に、それまでどれだけ楽しめても急に冷めるというか、現実に引き戻されてしまうという事が多々ありました(汗)
本作は一切そういう事はなく、”死者の残す想い”という大きなテーマを扱いながらも、スケールも変に大きくないので、朱鷺の周囲に起こる様々な出来事にもリアリティを感じる事ができ、
読後の余韻が心地よかったです。
深く、長く心に残る作品だな〜と思いました☆
まとめ
”ぎょらん”をテーマに描かれた連作短編集で、主人公は各話変わるのですが、
全ての作品に朱鷺が大きく関わっていきます。
なので、ストーリーの柱としては、朱鷺が”ぎょらん”とは何か?追い求めて行くという話なので、実質的に朱鷺が主人公で、彼の成長物語になっているので、
短編集というよりは、1本の長編の様なイメージで読んで頂くのが良いんじゃないかな〜と思います!
秋の夜長にぴったりな作品です☆
町田先生の作品に興味のある方は、こちらの作品もオススメです☆
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こんな人にオススメ
ちょっぴり妖し気で不思議な物語をお探しの方
「52ヘルツのクジラ」など、町田先生のファンの方