こんばんは、ちわぷ〜です!
昨年秋に刊行された、小川洋子先生の気になっていた作品を読んでみましたので、ご紹介させて頂きます!
演劇にまつわる作品が収録された、とてもステキな短編集でした☆
「掌に眠る舞台」 小川洋子(著) 集英社
あらすじ
交通事故の保険金と「レ・ミゼラブル」全公演のチケット代金が全く一緒という事に気づいた”私”は、全公演のチケットを買って「レ・ミゼラブル」の世界に浸っていた。
ある日、私は奇妙な女性に声を掛けられる。その女性は劇場に住み着いているのだという。
一体、何者なのだろうか…
(「ダブルフォルトの予言」)
上記含め、8つの演劇にまつわる(又は間接的に関わる)短編を収録。
小川洋子が描く”劇場”の空気感
もう期待を遥かに超える美しい物語の数々でした!
何より、小川先生が描く劇場の空気感が生々しくて、
細部をきちんと取材した上で、独創的な作品にリアリティを肉付けしている感じで、風変わりなストーリーでも嘘くさくなく、作品の世界に浸れる感じでした!
浸ったら最後、もう抜け出せない世界観と美しい言葉の数々。気持ちが途切れる事なく一作品を読み切る事ができ、
一つ一つの物語が素晴らしく、一日一本くらいのペースで読んで行こうと思っていたのに、結局は一気読みしてしまいました(^ ^)
個人的には、あらすじ紹介作品に選んだ「ダブルフォルトの予言」が一番好きで、
「花柄さん」も公演は観ないのに、出待ちして俳優のサインを集めてるっていう設定が面白くて好きでした!
あとは大富豪が暮らす劇場付きの家で住み込みで働くコンパニオンを描く、
「装飾用の役者」もストーリーにグイグイと引き込まれました☆
まとめ
小川先生の作品の中でも指折りの傑作だと思います!
演劇というモチーフでも、夢のある華やかな部分を描けば分かりやすいエンターテイメント作品になると思いますが、
あえてその影になっている虚構の部分を掘り下げて描くところに小川先生らしさがあり、そんな影の部分を描いているからこそ、小川先生の持ち味である美しい言葉が輝いている様な気がしました(^ ^)
演劇という題材だからなのか、他の小川先生の作品に比べて台詞が多めな様に思いました。読書になれていない方でも読みやすい作品だと思います。
小川先生の作品は以前オススメしたこちらの作品もオススメです☆
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こんな人にオススメ
演劇にまつわる短編集を読みたい方
独創的で美しい短編を読みたい方
小川先生のファンの方