こんばんは、ちわぷ〜です!
度々ドクター伊良部シリーズなどコミカル路線の作品を取り上げさせて頂いている奥田先生。
今回は、打って変わって、とってもシリアス!重厚なサスペンス小説をご紹介いたします☆
「リバー」 奥田英朗(著) 集英社
あらすじ
群馬県足利市と栃木県桐生市の間を流れる渡良瀬川の河川敷で相次いで女性の変死体が発見される。
それは、10年前に起きた未解決事件と同じ手口だった…
捜査線に浮かび上がる容疑者はいずれも怪しいが、それぞれ決め手に欠ける。
果たして同一犯なのか、それとも模倣犯なのか…
同一人物が書いたとは思えない程の筆さばき!
奥田先生大好きな私ですが、読んできたのはコメディ路線ばかり。
「イン・ザ・プール」の衝撃から奥田コメディに目覚め、シリアス路線の作品は敬遠していたのですが、先日ご紹介した「コメンテーター」を読んでから奥田先生の文章に飢えてしまい、はじめてシリアス路線の作品を手にしてみました!
奥田先生の作品なのでもちろんかなり期待をしていたのですが、それを遥かに上回る面白さで、今まで読んでこなかった事を後悔しました!
今作は特定の主役はいなくて、今回の事件を追いかける若い刑事、10年前の事件を解決できなかった後悔を抱えた定年退職した刑事、新聞記者、容疑者の関係者、10年前の被害者の父親など、
本当に様々な立場の人間の視点を交差させて描いている群像劇です!
この手の作品って、多くの視点で描く分、一人一人が薄っぺらくなりがちですが、
本作はさすがに奥田先生、むしろ、より作品が重厚に描かれている印象です!
今回は県境の川沿いで起きた連続殺人事件なので、群馬県と栃木県が舞台になりますが、そうなると刑事ものマニアの方は大好物の合同捜査!
はいはい、県警同士のプライドのぶつかり合いなのね、見たい、見たい!
と、思いきや共同捜査。
合同捜査と共同捜査は似て非なるもので、その点もしっかりと描かれていて、現場の刑事の葛藤が伝わってきます。
犯人探しのミステリーと猟奇的なサスペンス。
そして、それに翻弄される様々な立場の人々の葛藤。
思いがけぬ展開、やっぱり奥田先生が描くと面白い医療関係者(笑)
もう、最高な一冊でした☆
まとめ
犯人捜しを楽しむミステリーというよりは、重厚な人間ドラマが描かれた作品です。
ドクター伊良部シリーズの様なエンターテイメント作品のイメージが強い作家さんですが、同じ作家さんが書いたとは思えない程の振り幅がある作品で、さすがに実力のある先生です!
ドクター伊良部シリーズでも感じましたが、やはり奥田先生は人間をしっかりと描ける作家さんで、
それがコメディ路線だろうとシリアス路線だろうと、おちゃらけた作品だろうと、しっかりとした深みがあるな〜と感じました。
私の様にコメディ路線の方が好きで、あまりシリアス路線の作品を読んで来なかった方にもオススメの一冊です☆
奥田先生の作品は、以前オススメしたこちらの作品もオススメです☆
こちらはとってもコメディです☆
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こんな人にオススメ
重厚な人間ドラマが描かれたサスペンスを読みたい方
内部事情がしっかり描かれた刑事ドラマなどが好きな方
薄っぺらじゃない群像劇を読みたい方
奥田先生のファンの方