こんにちは、ちわぷ〜です!
現在仕事で調べている天草四郎関係。
小説から研究資料まで色々と読ませて頂いてますが、また一つ面白いものを読ませて頂きましたので、ご紹介させていただきます!
大河ドラマの脚本などで知られる脚本家の市川森一さんの小説です☆
「幻日」 市川森一(著) 講談社
あらすじ
天草四郎は幕府に立ち向かうために長崎要塞化を計画する。
島原の乱を攻め手、守り手それぞれの視点から描く大作。
流石は一流。オーソドックスであり大胆な切り口!
大河ドラマ好きとしては市川森一って小説も書いてたんだ!という驚きがありました。
オーソドックスであり大胆。この相容れない二つの言葉が良い歴史小説にはある様に思います。
描かれている事自体は島原の乱であり、それ以上でも以下でもありませんが、
大河ドラマを描いた脚本家という事もあり、攻め手、守り手と双方の視点で描くとそれ相応数の人物が登場し、エピソードが散らばりがちですが、きちんと統制が取れていて天草四郎を中心とした一つの深い物語になっている。
大まかな流れとしては、天草四郎がハーフのパターンで、総大将として担ぎ出されてしまうパターンになりますが、
その上で、様々なオリジナリティがあり、板倉重昌が従来のイメージとは違い情に深い人物として描かれていたり、天草四郎より上の年代の有馬氏家臣の少年時代のエピソードなどなど、島原の乱関連をだいぶ読み漁りましたがそれでも驚く様な真新しさもある。
タイトルの幻日というのはこの地域ならではの現象らしく、印象的なモチーフとなっていて、もしかしたらフィクションかも知れませんけどちょっと調べてみたいなと思いました。フィクションだとしても全然問題ない程度の味付けだけど、それでいて天草四郎の存在が際立つ、とても良い仕掛けでした!
そんな感じでオーソドックスであり大胆な切り口というのは、史実とフィクションのバランスが良いという事になります!
文章もかなり整理されていて、セリフは脚本家らしく過不足ナシ。
テンポ良く、それでいて語り足りないという事もない。
なぜか知りませんが長崎要塞化計画を前面に押し出した宣伝でしたので、とんでも系な作品っぽい印象を抱かれてしまいがちなのは少し残念。
私も最初はスルーしようかと思いましたが、市川森一の名前を見て読んでみた、という形です。
時代劇好きなら知ってる人もいるかと思いますけど、小説ファンで市川森一の名前を知っている人ってあまりいない様に思いますので、私の様に手に取ってみようと思いとどまらずそのままスルーしてしまうんじゃないかと思いました。
長崎要塞化計画というのは主題ではなく、島原の乱を攻め手、守り手双方から描いた深い人間ドラマ、その中で天草四郎が長崎要塞化を思いつく、というのが正しいイメージかなと思いますが、やはり長崎要塞化と打ち出してしまった方がキャッチーで食いつきが良いんでしょうかねぇ…
内容的にすごく良く、もっと話題になって良い作品だと思います☆
まとめ
島原の乱を大河ドラマの脚本家らしく、敵味方のエピソードを交えて一つの大きな物語として集約!
島原の乱関連の小説を色々読んできましたが、指折りに好きな作品になりました☆
天草四郎を描いた作品は、以前オススメしたこちらの作品もオススメです!
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こんな人にオススメ
天草四郎に興味のある方
市川先生のファンの方
重厚な歴史小説を読みたい方